ソレノイド・ドライバが持つ機能の紹介

ソレノイド・ドライバが持つ機能の紹介

著者:向笠 哲生

ソレノイドとは、本来は巻き線の意味ですが、産業分野では、ソレノイドは巻き線に流す電流で発生する磁界を利用したもの、簡単に言えば電磁石を使用したアプリケーション、主にソレノイド・バルブで使用されています。

今回はソレノイド・バルブをドライブするためのドライバについてご紹介します。

ソレノイド・バルブは誘導性負荷ですので、それに対応する仕組み、代表的なのが逆起電力に対応する必要があります。

そのような要件を満たす製品群として、可能性として3種類の製品群があります。

1:Digital I/O製品

この製品群は、主に産機のIOに対応するOn/Offスイッチですが、誘導性負荷に対する保護や、過電圧、過電流の保護、また、過熱、断線検知などの診断機能を備えたものがあります。

2:Motor Driver製品

特にブラシ付きDCモーター・ドライバ製品は、ソレノイドをドライブするのによく似ており、実際モータードライバ製品の中には、対応アプリケーションにソレノイドと記載した製品もあります。

3:ソレノイド・ドライバ製品

幾つか特徴的な機能がありますが、その説明をする前にモーターとソレノイドの違いを考えてみましょう。

モーターは回転運動をしますので始点も終点もありません。また、ポジションによるトルクや、電流などの制御も基本的にありません。

それに対して、ソレノイドは直線運動をしますので、始点と終点があります。動き出しにはトルクが必要ですが、終点で止まっている状態では大きなトルクは必要ありません。

もう少し具体的にソレノイド・バルブを考えてみましょう。

ソレノイド・バルブの主な構成要素は、電磁石、スプリング、プランジャからなります。プランジャとはシリンダの中のピストンみたいなものですが、簡単に言えば穴に蓋をする役割をします。普段はスプリングの力で穴はふさがれていますが、電磁石がオンになると蓋が開いて、流体が穴から出てきます。図は、簡単のためにON/Offしか書いていませんが、実際には、On/Offタイプのほかに比例ソレノイドと言われるものもあり、圧力制御などに使われています。

 

ソレノイド・ドライバはこの電磁石をドライブするのが目的ですが、そのドライブにはモーターとは異なり、動き出しには大きな電力が必要ですが、移動が完了すると必要な電力はかなり小さくなります。さらにその立ち上がり電流には次の様に、立ち上がりに段付きがあります。これは、プランジャの移動によって発生した逆起電力によるもので、これを検出することでプランジャが固着していないことを確認できます。

このほかに比例ソレノイドなどでディザという高精度制御を実現する妨げになる、ヒステリシスを低減させる機能などのニーズもあります。

まとめると、ソレノイド・ドライバにユニークな機能として、

1:ヒット電流値(電磁石がONして、プランジャが移動中の電流値)とホールド電流値(プランジャが定点に達して位置を保持する時の電流値)を独自に設定してホールド時の消費電力、発熱を防ぐ。また、それぞれのレベルをPWMで生成可能

2:プランジャの動作検知(Detection of Plunger Movement (DPM)

3:ディザ機能

等があります。

具体的な動きの例をVDRを例に見てみましょう。一番上の波形は①から⑤がアクティブな時間であることを示しています。

① で起動が開始します。

② ①と②の間に一番下の電流波形に段付きがありますが、これはプランジャの動作に伴う逆起電力の影響です。

③ HITの期間が終わり、Dutyが変化して電流値が減少し始めます。

④ 電流がHoldのレベルになり安定します。

➄ 電流がとまります。(電流がなくなり、プランジャはスプリングの力で元の場所に戻ります)

 

次にDPM、プランジャの動作検出を見てみます。下の図はプランジャが動作する時の電流波形です。

バルブが動作しない、プランジャが移動しない場合、逆起電力の発生が無いので、電流はスムースに立ち上がります。また、段付きが終わって電流が再度上昇し始める時点でプランジャの動作は終了しています。製品の中で、この部分を検出して電流値をホールド電流にまで下げる機能を持ったものもあります。

この段付きが無い場合、プランジャが固着したとみなしてFaultとすることが出来、不具合の素早い検出に役立ちます。

現時点でソレノイド・ドライバ製品としては現在3製品、MAX22200MAX22216、MAX22217があります。どちらも、オン抵抗が低く、制御方法として電圧、電流制御可能、各種診断機能(過電流、断線、アンダーボルテージ・ロックアウト、過熱保護、プランジャ作動検知、HIT電流不足)を持ち、さらにMAX22216/22217には機能が追加されています。

これらソレノイド・ドライバは、ソレノイドの動きに特化して、効率の改善や、容易なエラー検出をサポートしています。ソレノイド・バルブの開発をされる場合、是非ご検討ください。