『電源設計の専門家になれるセミナー』未回答質問の回答 ~「ADI電源回路設計の5つの非常識」~

『電源設計の専門家になれるセミナー』未回答質問の回答 ~「ADI電源回路設計の5つの非常識」~

6月26日に『電源設計の専門家になれるセミナー』を開催しましたが、大変多くの皆さまにご参加いただき、改めましてありがとうございました。「ADI電源回路設計の5つの非常識」 Q&Aの時間内に回答できなかったご質問について、講師からの回答を掲載しますのでぜひ参考にしてください。


周波数を上げても効率が悪化しにくいのであれば、将来的に例えば2Mが主流になっていき、400kは無くなっていくと考えてよいでしょうか?

無くなるか無くならないかについてはわかりませんが、高スイッチング周波数の課題として、入力電圧と出力電圧の差をどこまで大きくできるか、という課題があります。ですので、いわゆる低い周波数帯も今後も存在すると考えます。


フリップチップは寄生インダクタンスや抵抗値に対して有利なのに対して信頼性に課題がある(クラックなど)と認識していますが、課題や不具合事例などありますでしょうか?

IC内部にある基板と、お客様がお使いの基板では主に膨張係数が異なります。これが主な要因となり、一般的に心配される課題はないと考えます。


基準電圧源と基準電流源、動作原理・回路概要の違いを、簡易にも解説いただけると幸いです。

Silent Switcher 2の代表製品としてLT8609SSilent Switcher 3の代表製品としてLT8625Sのデータシートの内部ブロック図をご確認ください。


同期整流型のDC-DCでも,ボディ・ダイオードによる逆回復時間が発生しますか?

MOSFETにもボディ・ダイオードによる逆回復時間が発生します。

 
Silent Switcher 3の出力電圧に載るノイズ(リップル成分等)は従来のSilent Switcherシリーズの後段にLT304xシリーズを置いてPSRRで減衰させた場合と比較してもそん色ない程度になるのでしょうか?  

LT3042の性能が大変優れているため、ご質問のような結果になると思います。


マイクロモジュールについて、BGAとLGAがありますが、それぞれのメリットデメリット、LGAしか存在しないものとLGA・BGAの両方が存在するものがある理由をお教えいただけますでしょうか?

LGAしか存在しない理由については申し訳ございませんがわかりません。両方存在するものの相違点としては、データシートのスペック上では「高さ」のみになります。入手性や実装のし易さは状況によって変わると思いますので、お好みのパッケージをご選択ください。


電圧から定電流源にしたとき、ノイズが少なくなった理由の回路等を見せていただけませんでしょうか。

詳細な内部回路ブロックはデータシートをご参照ください。バンドギャップリファレンス自体がノイズをもっていること、Silent Switcher3は定電流源に変更しエラーアンプがユニティゲインとなったことが主な対ノイズ改善点です。


バンドギャップリファレンスのノイズより定電流源と抵抗の方がノイズが少ないという話ではないですか?

おっしゃる通り、バンドギャップリファレンス自体がノイズをもった特性がありました。またフィードバック回路のエラーアンプがユニティゲインになったことにより、よりノイズに有利となりました。


非常識の一環として、AIを設計に用いるトレンドについてどのように活用するべきかについてご見解をお願い致します。

周辺部品と定数の設計に関しましては、LTPowerCADのツールによる設計がある意味でAIによる設計ともいえると思います。また今回ご紹介しましたLTPowerAnalyzerは実際の基板における回路の最適化、という面においてAIともいえる機能が備わっています。


効率改善の対策として、デッドタイムの短縮化(1ns)が挙げられていますが、どのように最小値を保証されているのでしょうか。
  

データシート上で保証している値ではございませんが、プロセスの改善によるものとなります。


製品のスリープモード時においてもほぼ無負荷状態で出力電圧を出すケースがあります。定電流源の基準とすると、先ほどおっしゃっていた100uAくらいの電流源分が電圧源を基準とする品目より、無負荷時の消費電流が増えますか。製品の暗電流SPECに対して100uAは結構影響が大きいです。
      

ご指摘の通りです。Silent Switcher 2までは無負荷時2uA程度しか消費しませんが、Silent Switcher 3は必ず100uAは消費しますので、その点では不利といえます。


高周波でも効率が落ちないICで低周波で使用すると、より効率よく使えるのですか?

その電源ICのスペックにより違いがありますが、あまりにも低い周波数ではかえって効率が悪化します。データシートでご確認ください。


非常識2、出力パラ接続しているところで電流差が大きいと、と話されていましたが、許容される電流値はどの程度となりますでしょうか?
         

どの程度まで、とはっきり定義付けで回答することができないのですが、設計ツールがございますのでご活用ください。またはお付き合いのある販売代理店か弊社までお問い合わせください。


先ほどの車載の周波数で避ける範囲は一般的なものでしょうか。また、なぜ避ける必要があるかわかれば教えてください。
         

AMラジオ周波数帯(526.51606.5kHz)を避けるのが一般的と言われております。AMラジオ放送に雑音が入るのを避けるため、とお伺いしております。


SIMOは電流の差が大きいと使えないとのことでしたが,電圧の差は問題ないでしょうか?

基本的には問題ございませんが、設計ツールがありますので、そちらを活用して頂きご確認ください。


LT3042は、周波数を変調させて制御していると言う理解であっていますか?

LT3042はリニアレギュレータになります。周波数変調制御はしておりません。


SIMOについて教えてください。モバイル機器の小型化に用いられているとのことでしたが、こちらは高耐圧,高Wのような製品でも使用できるICはありますでしょうか。

残念ながら現状のラインナップではございません。


VREFにこれまで電流源がつかわれていなかった理由は何がありますか?      

発明者Robert C. Dobkinの話によると、構想自体は1970年代くらいからあったそうですが、当時の薄膜抵抗とトリミング技術が及ばなかったため実現できませんでしたが、2000年代半ば頃からようやく実現可能になったとのことです。


電流源を利用する発想はどこから来ていますか?
             

旧リニアテクノロジー社CTO Robert C. Dobkinの発明により、LT3080に初めて採用されました。


SIMOは通常のDCDCと比較して、EMIノイズはどう変わるでしょうか?スイッチング電流のループが通常のDCDCより長くなってしまっているのではないかと思ったのですが。

他のDC/DCと比較してEMIノイズが増えるということはありません。


Silent Switcherはコモンモードノイズに関しても効果がありますでしょうか?

どこの部分かによりますが、出力への影響ということあれば、Silent Switcher 3ならば効果があると考えます。


µModule、µSLICのデメリットはあるとしたら何でしょうか?

デメリットがあるとすれば、位相余裕度の調整などがしにくい製品、もしくはできない製品があります。


LDOの項目でですが、定電圧源と定電流源では出力電圧精度に関してどちらが有利でしょうか?外付け抵抗でVrefを作る定電流源の方が不利に思えるのですが・・・

基準電流源タイプの製品の方が精度が高くなります。そもそもの基準電流源の方が基準電圧源を使用したものより誤差が小さいためです。データシートでご確認いただけます。


定電圧源として、バンドギャップレファレンス回路に発生ノイズが大きい問題点があるのでしょうか?

おっしゃる通り、バンドギャップリファレンス自体がノイズをもった特性がありますので、これまでの基準電源として問題があったと考えます。Silent Switcher 3はこの問題を解決した製品といえます。

 ※なお、質問内容や意図が読み取れなかったものについては回答しておりませんので、その点ご了承ください。