ヘテロジニアスマルチコア環境の未来を見据えた開発者のための新たな支援

ヘテロジニアスマルチコア環境の未来を見据えた開発者のための新たな支援

著者:ソフトウェア&セキュリティ・グループ、シニア・バイス・プレジデント、ロブ・オシャナ(Rob Oshana

システム・アーキテクチャが複雑化する中で、オープン・ソリューションがエンジニアのパワーとなり、インテリジェント・エッジ・ソリューションの開発と採用を加速させます。

組み込みソフトウェア・エンジニアリングは、テクノロジーがマルチコア、マルチ・アーキテクチャ・ソリューションに向かって進歩する一方で、市場投入までの時間に対するプレッシャーが強まる中、ますます複雑な課題となっています。エンジニアは、シングルコア、シングル・アーキテクチャ環境のために開発された旧式のツール、ミドルウェア、ソフトウェア開発キット(SDK)を使用して、この複雑性に対処することが求められています。これらのレガシー・プラットフォームは独自仕様であることが多く、最新のヘテロジニアスシステムに不可欠なオープンで拡張可能なインターフェースを提供することができません。

この増大する複雑さに対処するために、組み込みエンジニアはマルチコア・システム用に設計されたオープンなツールを必要としています。システムの可視性を提供し、開発ニーズに適応する柔軟性を与えるツールです。SDKは、Zephyr®をはじめとするテクノロジープラグインやプロバイダーの幅広いエコシステムを持つツール・プラットフォーム内の他のコミュニティを通じて容易にアクセスできる必要があります。インテリジェント・エッジ・アプリケーションでは、現実世界のセンシングが重要であり、ツールは最高クラスのシグナル・チェーンに統合される必要があります。オープンで拡張性があり、堅牢なエコシステムを備え、マルチコアでアナログとデジタルを統合する。これが組み込みコンピューティングが向かう方向です。

CodeFusion StudioTmで開発を簡素化

このような背景のもと、アナログ・デバイセズはCodeFusion StudioTmを開発し、発表しました。インテリジェント・エッジ・ソリューションの開発と採用を加速させることに尽力する企業として、当社は、お客様の開発サイクルを簡素化し、迅速化するためのリソースを提供することに大きな価値があると認識しています。オープンツール、SDK、ミドルウェアが、エンジニアが必要とする柔軟性、カスタマイズ機能、長期利用を可能にするために中心的な役割を果たすことを理解している当社は、これらの原則を2つの新製品に適用しました。1つは、アナログ・デバイセズの組み込みソフトウェア開発環境であるCodeFusion Studio、もう1つは、コードサンプル、製品に関するドキュメンテーション、および当社の技術を効率的に使用し、複雑さを軽減するために必要な各種リソースを集約したDeveloper Portalです。

CodeFusion Studioは、Microsoftのオープンソース開発環境であるVisual Studio Codeをベースに、特にヘテロジニアス環境向けに構築されたもので、ヘテロジニアス・マルチコア・プロセッサを効率的にデバッグすることができます。当社は、オープンソースのテクノロジースタックをベースに構築されたパーミッシブ・ライセンス・ツールを重視しており、これには、当社のトラステッド・エッジ・セキュリティ・アーキテクチャ(Trusted Edge Security Architecture)や、エンジニアの能力強化を目的としたZephyrなどのプラットフォームとの連携が含まれます。Developer Portalでは、エンジニアはソースコード、オープンソース・プロジェクト、デバイス・ドライバ、製品ドキュメンテーションなどの各種リソースにアクセスでき、蓄積された知識を活用し、他の専門家とつながったりすることができます。

オープンソース・ソリューションをベースに構築されたCodeFusion StudioTmは、選定されたADIマイクロコントローラを含むさまざまなハードウェアをサポートしており、今後のバージョンアップでさらに多くのデジタルソリューションを提供する予定です。

オープンソースのツールでエンジニアにパワーを

まとめると、これらの新製品は、お客様が最も困難な設計課題を解決できるよう支援するという当社のコミットメントを裏付けるものです。ツールやコードサンプルなどの主要リソースに、オープンソースを第一に考えるという原則を適用することで、アナログ・デバイセズは、お客様が既存の資産を基盤として開発し、個々の製品固有のニーズに合わせてカスタマイズし、ベンダーロックインを心配することなくプロジェクトを管理する能力を向上させています。その結果、エンジニアはシステム設計における差別化要素により多くの時間を費やすことができ、作業が効率化し、新しいインテリジェント・エッジのイノベーションが発展すると考えています。