質問
アナログ・デバイセズの新たな逐次比較レジスタ型A/Dコンバータ(SAR ADC)製品に関して、「Easy Drive」という表記をよく見かけます。この目新しいアーキテクチャにはどのような長所があるのでしょう? また、シグナル・チェーンの設計にはどのようなメリットがもたらされるのでしょうか?
回答
「AD4691」、「AD4052」、「AD4080」、「AD4630-24」といった最新のSAR ADC製品は、アナログ信号の入力部に革新的なアーキテクチャを採用しています。そのアーキテクチャは、高精度のADCの入力部で一般的に見られる非線形の入力電流と、電荷の再分配に伴う電圧ステップを低減する役割を果たします。そのため、特に低消費電力または狭帯域幅のオペアンプによってADCの入力を直接駆動する場合に、システムの性能を向上させることができます。この入力アーキテクチャと長いアクイジション・フェーズを組み合わせることで実現されるのが、「Easy Drive」という機能(機能セット)です。
Easy Drive機能を使用すれば、高精度のオペアンプまたはシグナル・コンディショニング段によってADCを直接駆動できます。つまり、高速ADC専用のドライバ段(SAR ADCをベースとする設計で一般的に使用される)は不要になります。Easy Drive機能を備える一部のSAR ADCでは、同機能に対応する回路に革新的な技術の1つである「High-Zモード」が適用されています。同モードは、対象とする信号の帯域幅が100kHz未満の場合に最も大きな効果をもたらします。同モードをイネーブルにすれば、入力部のRCフィルタ(上流のシグナル・チェーンのコンポーネントから生じる広帯域ノイズを効果的に除去します)のカットオフ周波数を、従来のADCを使用する場合と比べてより低く設定できます。つまり、RCフィルタで使用する抵抗の値を大きく設定することが可能になります。結果として、DC信号に適した低消費電力/狭帯域幅の高精度アンプの選択肢が広がります。なお、100kHzを超える入力周波数を対象とするアプリケーションやマルチプレックス・アプリケーションでは、ADCのアクイジション・フェーズにおいて、求められる分解能の実現に必要なセトリング性能を得るために、相応のドライバ段が必要になる可能性があります。
詳細については、以下に挙げる参考資料をご覧ください。
技術記事:
精度の高いA/Dコンバータの駆動方法
ビデオ:
Analog Devices EasyDrive ADCs(アナログ・デバイセズのEasy Drive ADC)