気が変わっても大丈夫!

気が変わっても大丈夫!

著者:Conal Watterson、Brian Condell

本稿では、工場において柔軟性の高い製造を実現する方法に着目します。スマート・ファクトリには、柔軟性の高いオートメーション用のソリューションが求められます。つまり、消費者の行動や需要の変化に迅速かつ容易に適応できるようにしたいということです。オートメーション・システムのベンダーがこのニーズに応えるにはどうすればよいのでしょうか。大量生産や予測が可能な需要を対象として、固定的かつ大規模なシステムを設計しても意味はありません。そうではなく、最小限の設備投資と最小限のダウンタイムにより素早く再構成することが可能なシステムを提供することが求められます。本稿は、リモートIOに関するブログ・シリーズの2回目の記事です。今回は、ソフトウェアによる構成が可能なI/O(SWIO:Software Configurable Input/Output)技術について説明します。具体的には、SWIOによって、アジリティや効率がどのように改善されるのかを明らかにします。なお、リモートIOモジュールについて説明した前回の記事も参考にしてください。

 Figure 1 SWIO

SWIOを使用する理由

従来のIOモジュールは、機能が固定されたポート(アナログ入力、アナログ出力、デジタル入力、デジタル出力)を備えるものとして実現されていました。制御システムに柔軟性を持たせるには、そのようなIOモジュールから新たなソリューションへの移行を図る必要があります。そのソリューションとは、エンド・ユーザによる構成が可能なIOモジュールのことです。アナログ・デバイセズは、(リモートIOを含む)ユニバーサルなIOモジュールにSWIO技術を適用した製品を提供しています。それらを利用することにより、システム・インテグレータは、新たなプロジェクトで求められるシステムをより効率的に実装できます。また、より柔軟性の高い自動制御機能を実現することが可能になります。加えて、設計と設置にかかるコストを抑えられます。更に、コミッショニングに伴う遅延を削減できるようになります。

Figure 2 Advantages of SWIO

産業用機器のメーカーは、ソフトウェアによる構成が可能なシステムを採用することによって、自社製品の複雑さを軽減することができます。それだけでなく、製造フロアに対して、かつてないレベルの柔軟性を提供することが可能になります。アナログ・デバイセズのSWIO技術は、新たなユニバーサルI/O機能を実現します。それを利用すれば、任意の産業用I/O機能に任意のピンからアクセスできるようになります。しかも、各チャンネルはいつでも構成することが可能です。これは、設置を行うまさにそのタイミングでカスタマイズできるということを意味します。その結果、設計リソースを節約しつつ、市場に製品を投入するまでにかかる時間を短縮することが可能になります。また、あらゆるプロジェクトと顧客を対象とするユニバーサルな製品を実現することができます。

 Figure 3 Any Function, Any Pin

SWIOを活用することにより、最終顧客はエッジ接続型のスマート・デバイスへの移行を容易に進められます。イーサネット接続を活用するインフラに工場を移行させる一方で、フィールド・デバイスをそのまま継続して使用することが可能になります。その結果、10BASE-T1L/イーサネット/その他の産業用通信規格への移行を管理された状態で実施できるようになります。

 Figure 4 Benefits of Software Configurable I/O

SWIOがもたらすメリットについてまとめると、以下のようになります。

  1. 10BASE-T1Lへの移行の橋渡し:産業用イーサネットからエッジまでの接続を展開するには、新たな制御/通信製品を使用して既存のセンサーやアクチュエータを再利用できるようにする必要があります。市場では、そのためのソリューションが求められています。SWIOを適用したフィールド・ジャンクション・ボックスは、従来の4~20mA/0V~5V規格に対応したシステムとSPE(Single-Pair Ethernet)をつなぐ理想的な存在になります。
  2. ロジスティクスのオーバーヘッドの削減:SWIOを活用すれば、顧客は柔軟性を高めるための限定的な設計に集中できます。それにより、製造フローの合理化を図ることが可能になります。具体的には、スケール・メリットを達成し、セットアップ/ティアダウンに必要なコストを最小限に抑えられます。また、仕掛品(WIP:Work in Progress)に伴う損失や生産計画に関する問題が生じることもありません。
  3. 設計時間の短縮: 固定的な機能を使用するシステムの場合、計画の段階で1つのピンの機能が変更されると、一から設計をやり直さなければなりません。それに対し、SWIOを採用すれば、任意の組み合わせの入出力に簡単に対応可能なプラットフォームを設計できます。
  4. 設備投資の削減: ユニバーサルなIOモジュールでは、機能が固定されたIOモジュールと比べて導入にかかる時間を短縮できます。また、ミスも生じにくいので、設備投資を削減することが可能になります。SWIOを採用すると、ハードウェアに関するコストが少し増加します。それでも、設計/開発にかかるコストを削減できることに加え、設備投資を20%も削減することが可能になります。

 Figure 5 How SWIO Makes a Difference

ここまでの内容をまとめます。アナログ・デバイセズはSWIOのソリューションを提供しています。それらを採用することにより、製造企業は、機能が固定された旧来型の複数のIOモジュールを置き換えることが可能な単一のプラットフォームを開発することができます。また、顧客のアプリケーションでは、設備ごとにI/O要件が動的に変化するものですが、SWIOをベースとするプラットフォームであれば、そうしたアプリケーションに幅広く適用することができます。

このブログ・シリーズの次回の記事はこちらからご覧ください。

アナログ・デバイセズのSWIO製品を活用すれば、有用なリモートIOモジュールを実現できます。SWIO製品のポートフォリオについては、以下の参考資料をご覧ください。

参考資料