必要なのはセンサーだけじゃない!アクチュエータもスマート・ファクトリ対応に

必要なのはセンサーだけじゃない!アクチュエータもスマート・ファクトリ対応に

著者:Michael Jackson、Brian Condell、Konrad Scheuer

インダストリ4.0については、数々の記事や動画の中で様々なことが語られています。最新の実績や将来の可能性など、それがもたらすメリットは周知のこととして受け止められているでしょう。そうしたコンテンツの中では、多くの場合、スマート・センサーが主役として扱われます。確かに、センサーは工場の中で「目と耳」として機能する重要な要素です。センサーがなければ、PLC(Programmable Logic Controller)は工場の製造フロアで何が起きているのかを把握することができません。ただ、必要なものが「目と耳」だけではないことは明らかです。製造工程を成り立たせるためには、「筋肉」として働くアクチュエータも同じくらい重要になります(図1)。では、なぜセンサーばかりにスポットライトが当たるのでしょうか。その一因としては、ある事実が見逃されているということが挙げられるかもしれません。実は、スマートなアクチュエータを導入すれば、工場の管理者の負担が大きく軽減される可能性があります。しかし、多くの人はそのことに気づいていないのではないでしょうか。ここでは、スマート・アクチュエータがもたらすいくつかのメリットについて説明します。その上で、スマート・ファクトリに対応する実用的なアクチュエータのリファレンス設計を紹介します。そのリファレンス設計は、アクチュエータとPLCの間の通信にIO-Link®を使用することで得られるメリットを実証するものです。

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図1. 工場の製造フロアで稼働するスマート・アクチュエータ

機械制御、電気制御を経て、マイクロ電子制御の時代に

従来のアクチュエータでは、機械的な原理(空気圧、水圧)を利用してバルブの開閉を行っていました。その後、多くのアプリケーションでは、電気で制御されるモータを利用して同様の機能を実現するようになりました。ただ、アクチュエータには必ず可動部品が存在するということに変わりはありません。可動部品では摩擦が生じます。そして、摩擦は部品や機器が故障する原因になります。製造ラインの予期せぬ停止を防ぐためには、そうした故障の発生を検出したり予測したりする必要があります。また、問題のある部品/機器が完全に故障する前に交換するために、監視と保守を継続的に実施しなければなりません。そうした作業は、システムにおいて低電圧で動作するICを利用することで、はるかにスマートな形で行えるようになります。つまり、マイクロ電子制御の技術を導入するということです。その種の技術を適用したアクチュエータは、以下に示すようなメリットをもたらします。

  • 低消費電力のスイッチング:従来の電気制御のアクチュエータは、電力効率が低く信頼性に欠けるリレーに依存していました。現在では、ICにHブリッジ型のスイッチング機能が実装されており、小振幅の電気信号を使用してより簡単に制御を実現できるようになりました。それだけでなく、感電のリスクが低下して安全性も向上しています。電力定格の低い制御コンポーネントを使用できれば、設計を簡素化することが可能になります。加えて、ICで電力管理を行えば、スイッチや接点で流れる電流の量を削減できます。その結果、より効率が高く低コストのシステムを設計することが可能になります。
  • 位置情報のフィードバック:ICを利用すれば、動作サイクルの任意の時点におけるアクチュエータの正確な位置を把握することができます。これはICがもたらす大きなメリットです。エンコーダを使用した高度な位置制御を採用すれば、広範にわたる動きのプロファイルに対応することが可能になります。プロファイルに変動が生じたら、調整機能やアラーム機能、または必要に応じてシステムの自動停止機能をトリガすることができます。それにより、取り返しのつかない障害の発生を回避することが可能になります。
  • 状態基準保全(Conditional Based Maintenance):スマート・アクチュエータには、自らの状態を監視する機能を盛り込むことができます。それにより、コストのかかる障害やそれに伴う交換/修理を回避するための更なるセーフティ・ネットが得られることになります。例えば、温度(可動部品に関する非常に重要な指標)、電圧、電流のレベルを監視し、その結果に応じて、原因となっている事象を和らげるといったことを実現できます。必要であれば、保護のための策を講じることも可能でしょう。また、実行済みの動作サイクルの回数をデータとして収集し、保守が必要な回数に達したら自動的にリマインダを送信するといったことも行えます。更に、スマート・アクチュエータの中には、よりインテリジェントな機能を搭載しているものもあります。例えば、機械部品の過度な摩耗や損傷の潜在的な指標となる振動やノイズを監視するために、複雑なアルゴリズムを実行する機能を搭載するといった具合です。
  • リアルタイムの通信:位置情報のフィードバック、状態基準保全、その他の診断機能が有用なものになるのは、得られた情報を受け渡して何らかの機能を働かせられる場合のみです。そのためには、産業用ネットワークを介してそれらの情報をPLCと共有する必要があります。フィールドバスのプロトコルや産業用イーサネットのバージョンには、非常に多くの種類が存在します。スマート・アクチュエータを設計する際には、それらのうちどれを使用するのかということが判断すべき非常に重要な事柄になります。

実証済みのスマート・アクチュエータ、リファレンス設計を利用して開発を加速する

アナログ・デバイセズとTMG Technologie und Engineeringは、スマート・アクチュエータのリファレンス設計「MAXREFDES278#」を共同で設計しました(図2)。この設計は、8チャンネルのソレノイド・アクチュエータに対応しています。その中核を成すのは「MAX22200」と「MAX22514」という2つのICです。MAX22200は、シリアル制御型のソレノイド・ドライバICです。FETを内蔵しており、1Aの出力電流によって8つのチャンネルを駆動できます。一方、MAX22514はIO-Linkに対応するトランシーバーICです(保護機能も搭載)。MAXREFDES278#は、産業分野で一般的に使われているフォーム・ファクタを採用しています。各ソレノイドのチャンネルには、2方向の専用端子ブロックが設けられています。外形寸法は85mm×42mmで、業界標準のM12コネクタを採用しています。IO-Linkの4線式ケーブルを使用することにより、「MAX14819」のようなIO-Linkマスタ・トランシーバICに接続できます。

図2. MAXREFDES278#のブロック図。IO-Linkに対応するソレノイド・アクチュエータのリファレンス設計であり、8つのチャンネルを備えています。

このリファレンス設計に対する給電は、2つの方法で実施できます。1つはIO-Linkのマスタを介して直接給電する方法です。その場合、負荷に対してトータルで最大800mAの電流を供給できます。より多くの電流を供給する必要がある場合には、外付けの電源を使用することになります。このリファレンス設計には、IO-Link向けに必ず電力が供給されて、IO-Linkのマスタに電流が逆流しないことを保証するための仕組みが盛り込まれています。具体的には、過電圧(OV)保護、低電圧(UV)保護、逆流保護の機能を備える電流リミッタIC「MAX17608」を適用しています。データ通信にIO-Linkを使用する場合、プロセス・データ、診断情報、構成(コンフィギュレーション)情報、イベントという4種のデータが伝送されます。そのため、アクチュエータの誤動作が生じた場合には、それを特定して直ちに対処することができます。IO-Linkには、もう1つの長所があります。それはネットワークの種類に依存しないというものです。つまり、任意の産業用ネットワークに対応することができます。したがって、使用するアクチュエータの設計にどのようなプロトコルが使われているのかということは懸念事項にはなりません。

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